Pâtisseries Régionales Françaises
フランス地方菓子
北にはMassif Central中央山塊、南にはLes Pyrénéesピレネー山脈、そしてその中間には平野部といったヴァラエティに富む地形をもった地域圏です。古くはComté de Toulouseトゥールーズ伯の領土の主要な部分を担っていました。また、その伯領は広く現在のLanguedoc-Roussillonラングドック・ルシヨン地域圏にも及んでいました。ちなみにこの場所に限らずほぼla Loireロワール川以南の地域全体で話されていた言葉であるオック語について、フランス語ではその地域をOccitaniaオクシタニアと言い、その言語をL’Occitanロクシタン(化粧品メーカーの名称もここに由来しています)と言います。このような地形の多様性はそのまま文化の多様性に表される事は他の地域圏を見ても明白です。また、この地域、またLanguedocも合わせた広義でのトゥールーズ伯領は12世紀頃隆盛したキリスト教異端カタリ派との関係を抜きには語れません。この宗派はAlbiアルビに多くいたことからアルビ派(アルビジョワ)とも言われます(実際はToulouseが本拠地と言っても良いくらい多かった)。そして、彼らの討伐にあたったアルビジョワ十字軍後、この地域は王領に編成され、それ以後はトゥールーズ伯領に則った区分けはされてこなく、州編成後は、現在の地域圏の北半分がGuyenneギュイエンヌ州、南半分がGascogneガスコーニュ州の一部に分かれており、それらはともに現在のAquitaineアキテーヌ地域圏に属します。このように近世からはAquitaineの影響が大きく、このことは『地方菓子』についても然りです。
【Midi-Pyrénées / ミディ・ピレネー】
Souillac / スイヤック
Souillacスイヤック駅下車。Cahorsカオールから電車で40分ほどです。駅から町まではけっこう歩かなければ行けません。小さな町ですが、旧市街も残っており、観光客はそこそこいます。この町はLotロット県の北端に位置しており、この辺りを中心として以前はQuercyケルシーと呼ばれていました。よって、この辺りは現在の地域圏区分を超えた地方菓子が存在しています。当時からの特産物は例え区分が変わろうともその土地に根付いているわけですからある意味自然であると言えます。その最たるものがnoixクルミになります。noix関係の地方菓子はこのQuercy一帯に公汎に見られます。
Lourdes / ルルド
Lourdesルルド駅下車。Tarbesタルブから電車で15分程です。人口自体はそれほど多い町ではありませんが観光客の数はもすごいです。ホテルの数もフランスではParisパリに次いで第2位です。なぜならば、ここはフランスでは最大のローマ・カトリック教会の巡礼地なのです。ことの始まりは19世紀半ば、村の少女Bernadette Soubirousベルナデット・スビルーの前にNotre Dame聖母マリアが現れ、そこに泉が湧き、聖母像、聖堂が建てられました。毎年、500万人が世界中から訪れるという、世俗的な言い方をすれば一大観光地です。大通り(と言っても狭い一本道で車もほとんど通りません)にはお土産屋と食事処が軒を連ね、さながら奈良のようでした。また、私が訪れた2008年は聖母出現150周年にあたり、なんと900万人もの人が訪れたらしく、ホテルの部屋を探すのも苦労しました。
Auch / オーシュ
TarbesタルブからTERのバスで1時間ちょっとです。ローマ時代よりこの地域の重要な都市として機能し、中世にはアルマニャック伯領の拠点でもあり、現在でもGersジェール県の県庁所在地です。Cognacコニャックと並び、フランスの二大ブランデーの一つであるArmagnacアルマニャックの生産地としても有名です。Armagnacという名の町はありませんが、上記の様に旧アルマニャック伯領に由来する地域がアルマニャック地方と呼ばれています。その歴史的な首都がここAuchになります。よってそれなりに大きな規模を誇る町です。またこの町の近郊にある城出身である軍人Charles de Batzシャルル・ドゥ・バツに縁があるとして、そのブロンズ像があります。この人物はAlexandre Dumas Pèreアレクサンドル・デュマ・ペールによる「三銃士」の主人公として有名な「d’Artagna」ダルタニャンのモデルとなった実在の人物です。
Toulouse / トゥールーズ
Toulouse Matabiauトゥールーズ・マタビオー駅下車。ParisパリからTGVで5時間強です。古くはローマ時代から栄えた都市で、中世にはトゥールーズ伯の下でフランス王の封建にありながら南フランスに広大な領土を確保し「トゥールーズ王国」とまで言われる時代もありました。その後、南フランスで拡大したキリスト教カタリ派(アルビジョア派)の討伐の名目で起こされたアルビジョア十字軍によってフランス王権の軍門に下る事になりました。現在ではHaute Garonneオート・ガロンヌ県の県庁所在地にして、ここMidi Pyrénéesミディ・ピレネー地域圏の首府として、フランス第5の規模を持つ大都市圏を形成しています。この町は歴史的に石材が乏しかったため、フランスでは珍しいレンガ作りの建築が目立ち、別名「バラ色の都市」としても知られています。